猫皮膚病

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猫皮膚病

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猫の皮膚病 ってどんなもの? その種類、原因、症状、治療法とは

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更新日

 
執筆:碧井 香 (獣医師・獣医学博士)
 
 
猫の皮膚病について、御存知ですか?猫の皮膚に異常を感じたら、病院に行って獣医師に見てもらうことが重要です。猫の皮膚病に対して、自己判断で治療を行ってしまうと、症状を悪化させたり、手遅れになる事があります。この記事では、 猫の皮膚病 について詳しく説明していきます。
 
 

猫の皮膚病 には、どんな種類があるの?

猫の皮膚病には、猫の皮膚に以下のような様々な病変が表れます。
 
・丘疹(直径1cm以下の隆起)
・結節(直径1cm以上の隆起)
・紅斑(赤い斑点。発赤よりも赤い)
・紫斑(あざ)
・浮腫(むくみ)
・腫脹(はれること)
・腫瘤(はれ。腫脹より範囲が狭い)
・水疱(水ぶくれ)
・びらん(ただれ。表皮までの欠損)
・潰瘍(びらんよりも深い。真皮まで達する皮膚の欠損。出血を伴うこともある)
・壊死(部分的に細胞が死ぬこと)
・痂皮(かさぶた)
・落屑(ふけ)
・脂漏(脂っぽく臭い)
・色素沈着(黒ずみ)
・肥厚(皮膚が厚くなること)
・挫創(すり傷、切り傷)
・瘻管形成(炎症などにより管状のトンネルが出来る事)
などがあります。
 
このような病変を起こす猫の皮膚病には、どのようなものがあるか説明します。
 
先天性疾患
先天的な染色体異常により起こる疾患です。
・先天性魚鱗癬
・白皮症
・チェディアック・東症候群
・皮膚無力症
などがあります。
 
内分泌性疾患
ホルモンによる体の調節がうまくいかないことで起こる疾患です。
・副腎皮質機能亢進症
などがあります。
 
アレルギー性疾患
アレルギーによって皮膚に病変が表れます。
・アトピー性皮膚病
・ノミアレルギー性皮膚炎
・接触性皮膚炎
・食物過敏症
などがあります。
 
自己免疫疾患
病原体など外部からの攻撃に対して防御するために働く免疫機能が自己細胞に対して起きてしまう事により生じます。
・天疱瘡
・水疱性類天疱瘡
・円板状エリテマトーデス
などがあります。
 
感染症疾患
細菌感染や寄生虫による皮膚疾患です。
・膿皮症
・非定型マイコバクテリア症
・皮膚糸状菌症
・マラセチア症
・ニキビダニ症
・疥癬
・ツメダニ症
などがあります。
※なお犬につくダニとその感染症については、「犬のダニにどう対処する?」をご覧ください。
 
腫瘍
皮膚に腫瘍が出来ることにより皮膚病変が表れます。
・扁平上皮癌
・肥満細胞腫
・黒色腫
・線維肉腫
・リンパ腫
などがあります。
 
その他
・光線過敏症(日光性皮膚炎など)
・猫対称性脱毛症
・猫の好酸球性肉芽腫症候群
・猫の粟粒性皮膚炎
・血小板減少症
・皮下膿瘍
などがあります。
 
また、皮膚の色が黄色くなる黄疸(溶血性貧血、肝臓疾患)や青白くなるチアノーゼ(気管支、肺の疾患、胸腔・胸膜の疾患、貧血、心臓疾患、ショック状態)などがあります。これらは皮膚自体の疾患ではありません。
 
 

猫の皮膚病 の原因とは?

猫の皮膚病の種類ごとに、以下のような様々な原因があります。
 
先天性疾患
・先天性魚鱗癬(原因不明)
・白皮症(染色体異常により起こるメラニン合成障害により皮膚や被毛が淡色化する病気)
・チェディアック・東症候群(染色体異常により全身の細胞の中の構造物に異常をきたす)
・皮膚無力症(染色体異常によりコラーゲンの生成異常を呈する)
 
内分泌性疾患
・副腎皮質機能亢進症(脳や腎臓の腫瘍や過形成が原因で、副腎からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることが原因)
 
アレルギー性疾患
・アトピー性皮膚炎(アレルギー反応によるものと考えられていますが正確なメカニズムは解明されていない)
・ノミアレルギー性皮膚炎(ノミに対するアレルギー反応による)
・接触性皮膚炎(皮膚に有害な物質が接触することによって生じるものと、接触したものに対してアレルギー反応を起こすことによって生じるものがある)
・食物過敏症(食物に対するアレルギー反応が皮膚に現れるもの)
 
自己免疫疾患
・天疱瘡(表皮の細胞どうしの接着が障害され細胞がバラバラに離れてしまう疾患)
・水疱性類天疱瘡(表皮と真皮が離れてしまう病気)
・円板状エリテマトーデス(自己免疫により起こるが、紫外線の関与も考えられる)
 
感染症疾患(膿皮症、非定型マイコバクテリア症、皮膚糸状菌症、マラセチア症、ニキビダニ症、疥癬、ツメダニ症)
原因の細菌や寄生虫に感染することにより起こります。
 
腫瘍(扁平上皮癌、肥満細胞腫、黒色腫(メラノーマ)、線維肉腫、リンパ腫など)
外部刺激、あるいは内因性の理由やそれらの混合で細胞が異常に増殖することが原因となります。
 
その他
・日光性皮膚炎(日光を過剰にあびることによって起こる)
・猫対称性脱毛症(アレルギー、感染症、内臓疾患、精神的要因〔心因性脱毛症〕などが原因として挙げられる)
・猫の好酸球性肉芽腫症候群(正確な原因は不明)
・猫の粟粒性皮膚炎(様々な皮膚疾患、ノミアレルギー、アトピー、食物アレルギー、ダニ、細菌感染などにより生じる皮膚病変)
・血小板減少症(腫瘍、感染症、免疫介在性などが原因となる)
・皮下膿瘍(皮下組織の細菌感染によって起こり、膿が溜まる)
・黄疸(溶血性貧血や肝臓疾患などでビリルビンが血中に多くなることによる)
・チアノーゼ(気管支、肺の疾患、胸腔・胸膜の疾患、貧血、心臓疾患、ショック状態などにより大量出血、あるいは低酸素状態になると皮膚が青白くなる)
 
 

猫の皮膚病 には、どんな症状があるの?

猫の皮膚病の種類ごとに、以下のような様々な症状があります。
 
先天性疾患
・先天性魚鱗癬(全身の皮膚が魚のウロコ状になる。猫では非常に稀。)
・白皮症(全身の皮膚と体毛が白色を呈する)
・チェディアック・東症候群(特定のペルシア種の猫にのみ発症する。免疫力が低く感染しやすかったり、血小板の機能が低く出血が止まりにくかったりメラニン細胞の機能が低く皮膚や被毛、眼の淡色化や紫外線に弱いなどの症状が見られる)
・皮膚無力症(皮膚を引っ張ると異常に伸び、皮膚がとてももろくすぐに裂ける)
 
内分泌性疾患
・副腎皮質機能亢進症(脱毛したり、腹部の皮膚が薄く垂れさがる。免疫力の低下により膿皮症や感染症が見られることもある)
 
アレルギー性疾患
・アトピー性皮膚病(主に腹部や眼の周囲、手足の指、腋の下、外耳に病変が生じる。かゆみ、発赤、脱毛、肥厚、色素沈着、脂漏、紅斑など)
・ノミアレルギー性皮膚炎(頸から背中、腰の部分にブツブツした丘疹や紅斑が生じる。舐めてしまい腰や腹部などに脱毛が見られる)
・接触性皮膚炎(接触した部分に、紅斑、丘疹、水疱、かゆみが見られる)
・食物過敏症(眼の周囲と口の周囲などに病変が見られる。掻いて炎症を起こしたり、二次感染すると、皮膚の肥厚、脱毛、色素沈着が見られる。アトピー性皮膚炎と区別が難しい場合や、併発する場合がある。)
 
自己免疫疾患
・天疱瘡(鼻、耳、肉球に痂皮、びらん、潰瘍、脱毛が見られる)
・水疱性類天疱瘡(猫には稀で、口の中、腋の下、股の皮膚に痂皮や潰瘍が生じる)
・円板状エリテマトーデス(猫では非常に稀で、鼻に潰瘍、紅斑、色素脱失、痂皮が見られる。その他に全身性エリテマトーデスがあり、これは皮膚以外にも障害が全身に及ぶ。)
 
感染症疾患
・膿皮症(皮疹とかゆみが生じる。悪化すると、腫脹、浮腫、紅斑、潰瘍、壊死、瘻管形成、発熱などが起こり、二次感染の合併により死亡に至ることもある)
・非定型マイコバクテリア症(腹部や股に紫斑や結節、瘻管や潰瘍を生じ、慢性化あるいは再発を繰り返す)
・皮膚糸状菌症(かゆみ、脱毛、痂皮、壊死病変の落屑などを起すが、症状は様々。二次感染により炎症性結節を形成することもある。成猫より子猫で発症しやすく耳、顔、四肢に病変が見られる)
・マラセチア症(猫での発生は稀。黒色のべったりした耳垢が特徴の外耳炎、挫創、紅斑、落屑などの症状が生じる)
・ニキビダニ症(猫では稀で、ニキビダニの寄生を受けても症状が出ることは少ない。しかし、免疫力が低下していると、脱毛、細菌の二次感染による化膿、出血、浮腫などの病態を示す)
・疥癬(激しいかゆみとともに全身に皮膚病変が広がっていく)
・ツメダニ症(猫では落屑が増加する程度で激しい症状はない)
 
腫瘍
・扁平上皮癌(四肢、耳、口の中にひどい潰瘍が出来る)
・肥満細胞腫(シャム猫に多く、頭から頸部に腫瘤が発生)
・黒色腫(メラノーマともいう。顔と四肢が好発部位で黒や褐色、灰色のおできが出来る。良性の場合もある)
・線維肉腫(10歳以上の高齢の猫に起こりやすく、胴体や足に固いしこりが発生する)
 
その他
・日光性皮膚炎(毛の白い猫に発生しやすく、発赤、脱毛、落屑、かゆみ、色素沈着、潰瘍などが生じる。耳が好発部位。重症化で扁平上皮癌に移行することがある)
・猫対称性脱毛症(ほぼ左右対称に毛が薄くなる。原因によって皮膚炎の発症する部位や程度が異なり、脱毛、炎症、潰瘍などが見られる)
・猫の好酸球性肉芽腫症候群(好酸球局面、無痛性潰瘍、線状肉芽腫、蚊刺咬性過敏症がある。好酸球局面はかゆみ、脱毛、びらん、潰瘍が腹部、股、ももの外側などに見られる。無痛性潰瘍は上唇や口の中に潰瘍が生じる。線状肉芽腫は1歳前後の幼齢猫に多く、ももの外側に線状の脱毛と発赤が見られる。蚊刺咬性過敏症は鼻や耳の蚊に刺される部分にびらんや丘疹が見られる)
・猫の粟粒性皮膚炎(粟粒くらいの大きさの痂皮が付いた丘疹)
・血小板減少症(体表部の紫斑、点状出血)
・皮下膿瘍(皮下組織に膿が溜まりしこりを形成する)
・黄疸(皮膚が黄色くなる)
・チアノーゼ(皮膚が青白くなる)
 
 

猫の皮膚病 の治療法とは?

猫の皮膚病の種類ごとに、以下のような治療法があります。
 
先天性疾患
・先天性魚鱗癬(完治は困難。症状を軽くするために温水浴やリンスを行う)
・白皮症(治療法はなく、完治は困難。紫外線に弱いためなるべく室内で飼育するように心がける)
・チェディアック・東症候群(治療法はなく、完治は困難)
・皮膚無力症(治療法はなく、完治は困難)
 
内分泌性疾患
・副腎皮質機能亢進症(コルチゾールに対しての薬剤が有効)
 
アレルギー性疾患
・アトピー性皮膚病(シャンプーでアレルゲンを除去したり、副腎皮質ホルモン製剤が症状の改善に有効。二次感染に対して抗生物質、かゆみに対して抗ヒスタミン剤など。長期の管理が必要で、アレルゲンを排除するためにこまめに掃除したり、アレルギー体質用の食餌を与えたりすることも症状の改善につながる。これ以外に減感作療法という、抗原を定期的に接種する方法がある)
・ノミアレルギー性皮膚炎(症状は副腎皮質ホルモン剤で改善し、原因のノミの駆除を行う。二次感染に対しては抗生物質。治療後は再発防止のためノミの駆虫薬で予防する)
・接触性皮膚炎(症状は原因物質と接触を避けることで改善するが、特定できない場合は症状に応じて対症療法や副腎皮質ホルモン製剤の投与など)
・食物過敏症(診断は難しく、治療的診断として除去食試験を行います。除去食試験とは、アレルゲンを除去した食べ物を与え、症状が改善するかを診るもの。症状をみながらアレルゲンを特定する。皮膚病変に対してはシャンプー、二次感染に対して抗生物質などを用いる)
 
ここで言うアレルゲンとは、アレルギーを引き起こす原因を指します。またよく使う言葉である「アレルギー」とは、免疫システムが過剰に働き、特定の抗原に対して過度に生じる免疫反応のことです。猫のアレルゲンとして主要なものにノミ、ペットフードの各種成分(牛乳、牛肉、小麦、大豆など)がありますが、何にアレルギーを持つかは個体差異が大きく、アレルゲンは極めて多様です。
 
自己免疫疾患
・天疱瘡(治療法は様々。副腎皮質ホルモン製剤、あるいは免疫抑制剤の投与や軟膏などの外用薬の塗布など、個体に合った方法を選ぶ。紫外線は症状を悪化させるので、なるべく直射日光を避けるようにする。またノミの寄生も悪化の原因となるので、生活環境を清潔にして予防する。治療により症状の改善がみられる場合と、全く効かずに進行してしまう場合があり、完治が困難なことがある)
・水疱性類天疱瘡(天疱瘡と同じ)
・円板状エリテマトーデス(治療は天疱瘡と同様だが、紫外線の関与が考えられるので、直射日光を避ける。全身性エリテマトーデスの場合には治療が困難になることがある)
 
感染症疾患
・膿皮症(抗生物質の投与と薬用シャンプーなど)
・非定型マイコバクテリア症(抗生物質による長期の治療)
・皮膚糸状菌症(治療を行うときは毛を刈り、薬用シャンプー、病変部への外用薬、重症例には抗真菌薬が経口投与される)
・マラセチア症(抗真菌薬や薬用シャンプー)
・ニキビダニ症(駆虫薬で駆除を試みるが、完全に駆除することは難しく、投薬は長期間に及ぶ。症状が軽減すれば常在しているダニとしてとらえ、神経質になる必要はない)
・疥癬(駆虫薬を全身に用いて駆除する)
・ツメダニ症(駆虫薬など)
 
腫瘍(扁平上皮癌、肥満細胞腫、黒色腫(メラノーマ)、線維肉腫)
外科的に切除する。その他、放射線療法、化学療法、免疫療法などそれぞれの状態に応じて行う。
 
その他
・日光性皮膚炎(直射日光を避け、洋服や日焼け止めクリームなどで保護する。症状に応じて抗炎症剤や抗生物質。耳の先端の病変については切除することがある。)
・猫対称性脱毛症(抗生物質、抗炎症剤などを用い、心因性の場合にはストレスの軽減、精神安定剤や抗うつ剤を処方することもある。その他、各々の原因に対しての治療が行われる)
・猫の好酸球性肉芽腫症候群(副腎皮質ホルモン製剤が効果的。ノミアレルギーの関与を排除するため、ノミを駆除したり、生活環境を清潔にする。また、蚊に刺されなように心がける)
・猫の粟粒性皮膚炎(副腎皮質ホルモン製剤)
・血小板減少症(副腎皮質ホルモン製剤などによる免疫療法)
・皮下膿瘍(膿の吸引、重症例では絶えず膿が排出できるように管を通したり、外科的に切除する。抗生物質の投与)
・黄疸(原因となる疾患に対しての治療を行う。)
・チアノーゼ(原因となる疾患に対しての治療を行う)
 
 

人に感染する猫の皮膚病は?

 
猫の皮膚病の中で人に感染するものに以下のものがあります。
① 皮膚糸状菌症
② ノミアレルギー
③ ツメダニ症
④ 疥癬
 
皮膚糸状菌症は真菌感染により起こる皮膚病で猫では耳介や顔面、四肢に脱毛、フケ、かさぶたが見られます。自然治癒しますが、他の動物や人への感染防止のために治療を行います。治療は毛刈り、シャンプー、患部への薬物塗布などですが、抗真菌薬を投与する場合もあります。
 
ノミアレルギー性皮膚炎はノミの刺咬により痒みと皮膚炎が生じるものです。猫の治療はノミの駆除を行いながら、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤などの投与、患部に抗炎症剤、抗生物質などの軟膏を塗布します。
 
ツメダニ症はネコツメダニによって起こりますが、猫はフケが増加する程度で激しい症状は見られません。
 
疥癬はヒゼンダニによる皮膚疾患です。猫小穿孔ヒゼンダニは、猫の顔に病変をつくりますが、重症例では全身に広がります。穿孔ヒゼンダニは、四肢や耳介に激しい症状がでます。治療はイベルメクチンが有効です。ダニ駆除剤で駆除します。

 

人への感染経路

皮膚糸状菌症の感染経路は猫の抜けた毛やフケ、病原体が付着したものとの接触が主です。しかし、真菌の分生子は環境に長期間生残するので、徹底した清掃はもちろん、場合によっては痛風ダクトなども掃除する必要があります。
ノミやツメダニ、ヒゼンダニなどのダニの感染経路も接触感染です。
 

人に生じる症状

皮膚糸状菌症は人では病変が皮膚角質層だけに現れる浅在性白癬と、真皮の炎症を伴う深在性白癬があります。
 
ノミアレルギー性皮膚炎はノミの刺咬により痒みと皮膚炎が生じるものです。
 
ツメダニ症は人に感染すると激しい痒みや皮膚病変を起こします。
 
疥癬は人では著しい皮膚病変は形成されませんが、痒みを伴う炎症が発生します。
 

人に感染した猫の皮膚病の治療法

皮膚糸状菌症は抗真菌薬を用います。市販の外用薬もありますが、症状がひどい場合には内服薬も必要です。皮膚科を受診しましょう。
 
ノミやダニの刺咬症は患部の痒みと炎症を抑えるために、ステロイド系の軟膏を用います。症状がひどくない場合には市販のかゆみ止めを用いても良いでしょう。薬局で薬剤師さんに患部を見せて、薬を選んでもらうと安心です。ステロイド系、非ステロイド系、抗ヒスタミン系などいろいろありますので、自分で購入するときには注意が必要です。掻きむしって、ひどくなってしまった場合には皮膚科を受診した方がいいでしょう。
 
ノミに刺咬されただけの痒みなどの症状の他に、アレルギー反応が出ている場合にはそれに対する治療が必要です。ノミが刺咬ときに体内に入るノミの唾液成分によるアレルギーで、症状や程度は人によって異なります。市販の薬で対処できない場合が多いので皮膚科を受診しましょう。
 
全てにおいて、患部を掻きむしってしまって、そこに細菌の2次感染が起きてしまうと膿が出来てしまったり、とびひになり感染が拡大します。掻くのは極力避けましょう。2次感染が生じた場合には抗生物質での治療が必要です。市販の外用薬でも最近は抗生物質入りのものがありますが、皮膚科を受診した方が確実です。
 

猫の皮膚病に対して人が予防する方法

 
① 皮膚糸状菌症
予防は感染した動物を隔離し早期に治療を行う事です。完全に治癒しないと保菌した状態となり再発したり、他の動物や人への感染源となります。抜けた毛の除去など生活環境を清潔にすることと、消毒することが大切です。
 
② ノミアレルギー性皮膚炎
ノミは卵を産み、幼虫になり、さなぎになり、成虫となります。産卵場所は猫の寝具が多く、幼虫は成虫の排泄物を食物として摂取します。従って、成虫の駆除は幼虫の駆除につながりますので、徹底して殺虫剤を散布し、根絶させることが重要です。ノミは18℃~27℃、湿度70%以上が好適条件なので、寝具を天日干ししたり、その他の生活環境も通気、乾燥、清掃を徹底して行うことが重要です。
 
③ ダニ感染症
感染した猫やダニで汚染した器物・環境に直接触れないように手袋をするなど工夫が必要です。猫の体だけではなく、生活環境に殺ダニ剤を使用するのも有効です。
 
一番の予防は猫に病原体がつかないようにすることです。ノミやダニは体表に垂らすタイプの予防薬があります。計画的に長期に渡り用いるのが簡単な方法です。また、毎日のブラッシングや定期的なシャンプーで体表を清潔に保ち、ノミやダニがいないか、皮膚病変はないか観察してください。生活環境を清潔にすることも大切です。
 
猫も人間も、日ごろから免疫力を高めておくことは重要です。たっぷり栄養を摂って健康を心掛けましょう。

 
 

普段の生活での留意点とは?

先天性の疾患は防ぎようがありませんが、それ以外については、生活環境を清潔にするために掃除をこまめにし、アレルゲンの除去を試みましょう。
猫の症状に合ったシャンプーを行い、完全に乾かすことが大切です。免疫が関与するものに関しては免疫力を維持するためにバランスのいい食餌やストレスをためないようにすることが大切です。
アレルギー体質であることが影響しているようならアレルギー体質用の食餌にした方がいいでしょう。
日光が原因になる場合には避けなければなりません。ワクチンや駆虫薬などで感染が防げるものはきちんと予防することが大切です。他の疾患を伴う場合も含めて、治療が長期に渡ることが多く、根気よく管理することが症状を軽減につながるでしょう。
 
 

まとめ

ここまで説明した内容のポイントを以下に記載しますので、ご参考にして頂ければ幸いです。
・猫の皮膚病には色々な種類がある
・自己判断で治療を行うとかえって悪化させてしまうことがあるので、医師にみてもらう事が重要。
・猫の皮膚疾患が生じる病気には、先天的疾患、内分泌性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、感染性疾患、腫瘍などがあり夫々の症状と治療法がある。
・先天性の疾患は防げないが、それ以外については、生活環境を清潔に保ち、アレルゲン除去を励行することが重要。
 
 
<執筆者プロフィール>
碧井 香 (あおい こう)
獣医師・獣医学博士。
現在はフリーライターなど多岐に活動。
麻布大学獣医学部卒業 獣医師免許取得、某アニマルクリニックに勤務しながら、同大学院にて獣医学博士号取得、独立行政法人某研究所勤務、アメリカの研究機関勤務を経て今に至る。

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